吃音の子どもが体験を綴る

やさしい温度の余韻が残る

読んでいるあいだ、私はふと、ある小学3年生が描いた一冊の絵本を思い出しました。タイトルは『わたしのきつおん』(まりちゃん 作)。こちらは、自分の特性を「知ってもらう」ことから関係がひらけていく物語。知らせる勇気をもって一歩を踏み出すことで、友だちと仲良くなっていく体験が等身大の言葉で描かれ、読み終えたあと、やさしい温度の余韻が残ります。

同じ吃音をめぐる二冊でも、『ぼくは川のように話す』が自分の内なるリズムを肯定していく静かな旅だとすれば、『わたしのきつおん』は周囲と橋をかけるための大きなエネルギーを使う大冒険。前者は「ありのままでいい」と包み込むような温かさで、後者は「周りに知ってもらえることで、いっしょに歩ける」と希望を手渡してくれます。

神原えみ について

湘南在住の2児のママ、(かんばらえみ)です。ペンネームはモンテッソーリガイドえみとして執筆をしています。『分かりやすい!モンテッソーリ教育』、『幼児教育をはじめる前に読む本』、『ORIGAMIはじめてのおりがみ(日・英バイリンガル)』といった書籍を出版してきました。普段は、インターナショナル園に勤務をしながら、「ママも子どもと同じくらい自分を大切に」を理念に活動をしています。さらに、2026年5月にはメキシコで開催される国際モンテッソーリ大会にて、モンテッソーリ教育とおりがみを融合させた書籍をご紹介します。