大人ももっと絵本を! 絵本セラピーの魅力⑤

◆涙ぐむ女性も
しかしながら「笑顔にする」といいつつ「泣かせてしまう」こともあります。
今年9月の絵本セラピーで、「秋」をテーマに「食欲の秋」「スポーツの秋」「恋の秋」と、いろんな絵本を紹介しました。
その中で「秋といえば運動会!」ということで『ぼくのジィちゃん』(くすのきしげのり・作、吉田尚令・絵 佼成出版社)をご紹介しました。
小学校の読み聞かせでもすごくウケる絵本です。
一冊読み終えて、お題は「あなたにとってのヒーローは?」
みなさん、幼い頃の記憶をひもといたり、いま憧れている周囲の人やテレビの中の芸能人など、さまざまな人が出てきました。

そんな中でひときわほっこりしているグループがあります。
私より少しお姉さんぐらいの女性がニコニコしながら涙をぬぐっています。
その場ではお話の邪魔をしないようにして、絵本セラピー終了後に涙のわけを聴いてみました。

すると、「中学校時代大変お世話になった恩師のことを思い出した」と。
若くしてお父様を亡くしたその女性に対し、恩師は「先生が力になるから、何でも言いなさい」と、本当にご家族の支えになってくださったそうなのです。
それが・・・時間が流れ、仕事も忙しくなるにつれてその先生のことを・・・忘れていたわけではないけれど、こんな風に当時のことを思い出すことがなくなっていたそうで・・・。
「先生の優しい顔を思い出せて嬉しい」とその女性は涙ぐんで話してくださいました。

中村恵美 について

(なかむら えみ)福岡県出身 岡山県玉野市在住。岡山・香川の民放局アナウンサーとして勤務した後、結婚退職をしたのを機にフリーに。司会業・リポーター業の傍ら、絵本の読み聞かせ活動や朗読を始め、絵本セラピー®と出会う。基礎絵本セラピスト®の資格を取得し、毎月絵本カフェや地元のパン屋さんで絵本セラピーを開催している。現在 高校一年と小学三年生 二男児の母。 (資格)絵本セラピスト®協会認定 基礎絵本セラピスト®、大人に絵本ひろめ隊®。 日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントファシリテーター。 キッズアンガーマネジメントファシリテーター。 日本コミュニケーショントレーナー協会認定「心理カウンセリング1級・コーチング1級」