◆涙ぐむ女性も
しかしながら「笑顔にする」といいつつ「泣かせてしまう」こともあります。
今年9月の絵本セラピーで、「秋」をテーマに「食欲の秋」「スポーツの秋」「恋の秋」と、いろんな絵本を紹介しました。
その中で「秋といえば運動会!」ということで『ぼくのジィちゃん』(くすのきしげのり・作、吉田尚令・絵 佼成出版社)をご紹介しました。
小学校の読み聞かせでもすごくウケる絵本です。
一冊読み終えて、お題は「あなたにとってのヒーローは?」
みなさん、幼い頃の記憶をひもといたり、いま憧れている周囲の人やテレビの中の芸能人など、さまざまな人が出てきました。
そんな中でひときわほっこりしているグループがあります。
私より少しお姉さんぐらいの女性がニコニコしながら涙をぬぐっています。
その場ではお話の邪魔をしないようにして、絵本セラピー終了後に涙のわけを聴いてみました。
すると、「中学校時代大変お世話になった恩師のことを思い出した」と。
若くしてお父様を亡くしたその女性に対し、恩師は「先生が力になるから、何でも言いなさい」と、本当にご家族の支えになってくださったそうなのです。
それが・・・時間が流れ、仕事も忙しくなるにつれてその先生のことを・・・忘れていたわけではないけれど、こんな風に当時のことを思い出すことがなくなっていたそうで・・・。
「先生の優しい顔を思い出せて嬉しい」とその女性は涙ぐんで話してくださいました。