太陽がほしかった王様(2/8)

文・伊藤由美   絵・伊藤 耀

王様の命令で、8000頭の象に、こう鉄のかぎづめと、頑丈なさおと、太いロープが積みこまれました。
そこにマガタの屈強な兵士たちが乗りこむと、東の果てめざして、勇ましく出発して行きました。

率いるのは、国一番の勇者として名高い赤ひげ将軍です。
これまで、どんな強い敵にだって、背中を向けたことはありません。

でも、途中、広い砂漠を渡る時、3000頭の象が、のどのかわきで、死んでしまいました。
その先の平原では、たけだけしい盗ぞくと戦って、さらに3000頭が命を落としました。やっと東の果ての山にたどり着いた時には、つらい旅の疲れで、1000頭の象が動けなくなっていました。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井市在住。 ブログ「絵とおはなしのくに」を運営するほか、絵本・童話の創作Online「新作の嵐」に作品多数掲載。HP:絵とおはなしのくに

伊藤 耀 について

(いとう ひかる)福井県福井市生まれ。福井市在住。10代からうさぎのうさとその仲間たちを中心に絵画・イラストを描き始める。2019年からアールブリュット展福井に複数回入賞。2023年には福井県医療生協組合員ルームだんだん、アオッサ展望ホールその他で個展開催するほか、県内アールブリュット作家展に出品するなど、活動の幅を広げている。現代作家岩本宇司・朋子両氏(創作工房伽藍)に師事。HP:絵とおはなしのくに