山のふもとには太陽を祭る「朝(あした)の神殿」がありました。象牙色の肌をした、おだやかな人々が守っています。
マガタの兵隊が来た理由を知ると、人々は、
「いけません。太陽を取るなど、めっそうもないことです。どうぞ、おやめください」
と、赤ひげ将軍にすがってたのみました。
「あなた方は太陽がどんなに大切なものか、少しもお分かりではない。太陽が、ドーンと、ひとつ、太鼓をたたけば熱が放たれ、大地が暖められます。そして、ジャーンと、ドラをならせば光が放たれて、草木が育まれるのです。太陽こそは命のみなもとなのですよ」
「たとえ命のみなもとであっても、わが王の前にひざまずかねばならぬ」
将軍は耳をかしません。
「それ、ものども、象を進めよ。夜明け前に頂上まで登るのじゃ」
プオーン、プオーン・・・。
それはそれは険しい山道でした。
象たちは、兵士たちにむち打たれて、けんめいに上って行きました。
でも、狭いがけ道にさしかかった時、500頭が足をふみ外して、兵士もろとも、深い谷に落ちてしまいました。頂上に着いたのは、たった、500頭でした。それでも、赤ひげ将軍はくじけません。
「もうすぐ日が昇る。ゆうよはないぞ。さおをつなげ!」
兵士たちは、大急ぎで、運んできたさおをつなぎ合わせ、その先に、かぎづめの付いたロープを結びつけました。
長い、長い釣りざおの出来上がりです。そうこうするうちに、山の下が明るみ始めました。
「来るぞ!油断するな!」