むかし、まだ、インドがマガタと呼ばれていたころ、一人の王様がいました。
王様は、それはもう、たいそうな金持ちでした。いくつもの金山と銀山、数え切れない宝石の島々を持っていたからです。
その姿は目もくらむばかり。黄金の冠をかぶり、全部の指に宝石の指輪をはめ、うでにはうで輪、耳には耳輪、鼻には鼻輪、胸には、ジャラジャラと、首輪・・・、いえ、首かざりをぶら下げていました。
7つの宮殿は、どれも、真っ白な大理石。広い庭には南国の珍しい花が、いっぱい、咲いていて、ゴクラクチョウがきれいな声でさえずり、トラやヒョウ、金色のヒヒなんかが、のんきに遊んでいました。王様の軍隊はとても強く、世界中の国々が王様の前にひれ伏していたので、欲しいと思うものは、どんなものでも、すぐに、手に入ったのです。