王様が食事をする時には、召使いたちが、1000皿のすばらしいお料理を並べました。「王様、どうぞ、お選びください」
「うむ。これとあれ。それから、あっちと、そっちと、こっち・・・」
王様は好きなお皿を指さします。それから、王様が食べ始めるのをあいずに、100人のお妃たちが音楽を演奏し、もう100人のお妃たちが歌い出します。そのお妃ときたら、みな、天女のように美しかったのです。
「ああ、いともけだかき、マガタの王様
王様よりも強く、慈悲(じひ)深きものはなし・・・」
それなのに、近頃、王様は、食事が少しもおいしくありません。きょうも、ため息をついて、首を横にふりました。
「その歌にはあいたぞ。別のにせよ」
お妃たちは、あわてて、歌を変えます。
「いともかしこき、われらの王様
背高く、そのかんばせは輝くばかり・・・」
王様は、「やめよ」と、手を上げました。
「歌は、もう、よいぞ!」
すると、ひかえの、さらに100人のお妃たちが出てきて、踊り出しました。それでも、王様は、「ふわあ~」と、大あくびをしました。
それからというもの、王様はあくびが止まらなくなってしまいました。