妖精ヤコブの冒険(1/3)

文・潮浜 優   絵・ゆき


夜、サーシャの家の屋根の上

ヤコブは、ぼんやりサーシャのことを考えていた

「俺様の声が聞こえるなんて、はじめてだ」

今までだれにも声も聞かれず、すがたも見てもらえず

でもそれでいいって思ってた

だけど・・・

俺は知っているんだ
サーシャに世界を見せるほうほうを

俺は知っているんだ
自分のからだの全部を使えば、なにができるのかを・・・

「ちょっとだけ使うか、これくらいのじゅもんなら、だいじょうぶだろう」

じゅもんをとなえて目をとじた・・・

「サーシャ、サーシャ、わかるかい、俺様がまた来てやったぞ」

「その声は、ヤコブ! うれしい、また来てくれたのね」

「これはサーシャのゆめの中さ、さぁ、ゆっくり目をあけてみな」

「え? どうして?」

「いいから」

サーシャは目をゆっくりあけた

潮浜 優 について

(しおはまゆう) 千葉県出身。子供の頃からお話しを書くのが大好きで、マンガや小説を書く。現在も仕事のかたわら、ブログやマンガ投稿サイトなどに連載中。 https://rookie.shonenjump.com/users/1609047349019437530

ゆき について

晴れた空を見上げたとき、そこに何色が見えますか? 冴え渡った青のなかにあるピンクや黄色や緑色・・・目を凝らさないとみつからない秘密の素敵な色を探すのが好き。幼少期から絵に親しみ油画や石彫を学んだ後ブランクを経て、2018年からデジタルイラストを始める。かわいいものや幻想的なイラストが多く、色使いや光が特徴的なイラストを描いています。