❖自分ならどうするだろう?
特に印象的だったのは、小学2年生と小学5年生の子どもたちが夢中になって読んでいたことです。「ハコくんのことをどう思う?」「駅長さんってどんな人かな?」と私が質問すると、それぞれが感じたことを自由に話し合うなかで、子どもたちの価値観やものの見方を垣間見ることができ、新鮮な発見がありました。
この絵本のもうひとつの魅力は、何気ない日常の風景を切り取っていることです。駅という身近な場所を舞台にしながら、そこにいる登場人物たちが織りなす関係性を丁寧に描くことで、読み手にも「自分ならどうするだろう?」と問いかける余地を与えています。
親子で一緒に読むことで、「言いたいことを素直に伝える大切さ」や「相手の気持ちを考えることの難しさ」について、自然と会話が広がる一冊です。読んだ後には、ふわっと心が温まり、大切な人ともう少し話してみたくなる。そんな優しい物語でした。
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