◆生活習慣と劇場文化の中の児童文学
この演劇祭はドイツ国内でも最も古いもので、2015年には125周年を迎えました。そのルーツは17世紀半ばにまでさかのぼることができ、1914年にはプロの俳優が演じるようになりました。
ドイツは劇場文化の強い国で、その枠組の文化政策も分厚いものがあります。一方、暖かくなると、家族でハイキングに出かけるなどの生活文化もあります。そのふたつの要素がうまくくっついており、その中に児童文学がはまりこんでいるかたちですね。そういう意味では、トラディッショナルな「ドイツ人」の趣向にとてもよく合う。ちなみに家族向け以外の演目も含めますが、シーズン中は100万人を軽く超える訪問者がいて、2011年は151万人を数えています。
ひるがえって、公演のあとは「岩石迷宮」で家族がお弁当を広げて憩う姿も見られます。そして、ピッピやロビン・フッドの余韻を体に充満させた子供たちが、とんだりはねたりしているのが印象的です。身体で作品世界を受け止めているのでしょうね。
筆者のHP:インターローカルジャーナル