幼年童話の書き方~第1部「基本のキ」その1

◆子どもたちのことをどのくらい知っていますか?

今回のテーマは「幼年童話の読者」です。幼年童話が読者対象としているのは就学前の5、6歳から小学校低学年(1・2年生)ですが、このコラムでは低学年向けの幼年童話のことが中心になります。就学前の子どもたちを対象にした作品を書いたことがないので。すみません。

早速ですが、あなたは低学年の子どもたちのことをどのくらい知っていますか?
昔(大昔?)は子どもだったからちゃんと知っている、なんていうのはダメですよ。同居している家族に低学年の子どもがいるという方もいるでしょうが、家と学校では別人という子もいますからね。
そもそも低学年とひとまとめにして言いますが、1年生と2年生では体の大きさが違うだけではありません。顔つきもまったく違います。個人差はありますが、2年生になれば知識や経験が増え、語彙も増えます。同級生や大人を見る目だって変わってきます。
したがって、同じ題材であっても1年生に向けて書くのと2年生に向けて書くのとでは書き方が違います。つまり、読者である子どもたちのことを知らなければ作品が書けないということなんですね。

これから幼年童話を書こうというあなたには、まず、読者対象である低学年の子どもたちに目を向けてほしいです。読者である子どもたちに思いを寄せながら書く。わたしは、これが童話を書くときのいちばん大切なことだと思っています。
連載「幼年童話の書き方」本文さし絵 名札

野村一秋先生のインタビュー記事もぜひご一読を!
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(1/3)
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野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。