幼年童話の書き方~第1部「基本のキ」その6

3.三人称多元視点
お話の登場人物とは別の第三者が語り手となって語っていくスタイルで、三人称の語りになる点は三人称一元視点と同じです。
が、多元視点なので、主人公に寄り添ってというのではなく、語り手がそのお話の舞台を俯瞰しているような感じでしょうか。そのため、「神の視点」とも言われます。

したがって、一元視点とは違い、主人公以外の登場人物の心情などを語ることもできるし、主人公がいない場面も語ることができます。

語りの人称と視点が統一されていないと読者は混乱してしまいます。いつも語り手を意識しながら書くことを心がけましょう。

次回の「語りの人称と視点」(後)では、それぞれの語りのスタイルについて、もう少し詳しく説明します。

野村一秋先生のインタビュー記事もぜひご一読を!
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(1/3)
https://x.gd/etXKc
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(2/3)
https://x.gd/oTLHR
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(3/3)
https://x.gd/sq5xe

野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。