幼年童話の書き方~第1部「基本のキ」その8

こぶたは大なべに水をいっぱい入れて
⑦ つぎの日、また、おおかみがやってきて、こんどはお祭りに誘った。
3時に約束をしたが、こんどもこぶたは早めに出かけた。お祭りでバターつくりの樽を買って帰ろうとするとおおかみがやってきたので、こぶたは樽に隠れたが、その樽がこぶたを
入れたまま転がりだした。
坂を転がり下りてくる樽にびっくりしたおおかみは、お祭りに行かずに逃げ帰った。

⑧ おおかみがこぶたの家に行って樽の話をしたら、「それはぼくさ」と言われたので、カンカンに怒った。
「もう、かんべんできないぞ。煙突から下りていっておまえを食べてやる」

⑨ そこで、こぶたは大なべに水をいっぱい入れて火を焚きつけた。
おおかみが煙突から下りてきたときにこぶたが鍋の蓋を取ったので、おおかみは鍋の中に落ちた。こぶたは蓋をかぶせて、おおかみを煮て、晩ごはんに食べた。

⑩ それから先、こぶたはずっと幸せに暮らした。
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野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。