幼年童話の書き方~第1部「基本のキ」その9

擬人化をごちゃまぜにしない
擬人化というのは「人でないものを人に模して表現すること」(広辞苑)ですが、この擬人化にも度合いがあります。動物を擬人化する場合はつぎのようになるでしょうか。

高:すべて人間と変わらないぐらいの擬人化
中:服は着ていないが、直立の二足歩行で動作や感情も人間に近い擬人化
低:自然の中で動物の特性もちゃんと備えて暮らしていて、人間の感情だけを与えた擬人化

服を着ていないモグラが土の中から出てきてスマホでしゃべっていたら、読者はええっ?と思いますよね。これは上記の「高」と「中」と「低」がごちゃまぜだからです。

なんか嘘っぽいよなあ、なんだかすっきりしないんだなあ、そんなふうに違和感を覚えると、読者は物語の世界に入って来られなくなります。
おもしろそうと思って上がっていたテンションは、違和感を覚えたとたんに、いっきに下がってしまいます。違和感にご用心!


野村一秋先生のインタビュー記事もぜひご一読を!

『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(1/3)
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『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(2/3)
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『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(3/3)
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野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。