幼年童話の書き方~第1部「基本のキ」その11

ビビビッときたので
わたし、気になった新聞記事を切り抜いてクリアブックに入れているんですね。で、そのネタ帳をペラペラとめくっていて目に留まったのが「ドブネズミ 陰の人気者」という記事。

これは名古屋の東山動物園でドブネズミを飼育展示しているというものです。記事には、批判や苦情を覚悟していたが展示を始めたらけっこう人気があってうれしい誤算だった、とありました。

このネタが使えそうだ!とビビビッときたので、早速、ドブネズミの生態や飼育係の仕事などを調べました。それが終わると、東山動物園へ行って展示されているドブネズミを見て、飼育係の方に話も聞きました。

こうしてできた物語は新人の飼育係を主人公にしました。ときどき寝坊をしては担当している動物たちに謝っている、どこにでもいるような若者です。ドブネズミにはいつも餌を横取りされたり小鳥の卵を狙われたりしていたので敵意すら抱いていた主人公ですが、あることがきっかけになって展示したいと思うようになり・・・。

動物園でドブネズミを飼育展示していること以外はすべて創作です。もちろん、展示することになった経緯も。記事のままではノンフィクションになってしまいますからね。

思いつきを作品にするだけでなく、こんなふうに本当にあったことをヒントにして物語をつくることもよくあります。そのため、ふだんからネタ集めをしています。
ネタ集め、みなさんはしていますか?


野村一秋先生のインタビュー記事もぜひご一読を!

『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(1/3)
https://x.gd/etXKc
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(2/3)
https://x.gd/oTLHR
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(3/3)
https://x.gd/sq5xe

野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。