幼年童話の書き方17~第2部「名作に学ぶ」その5

その5『きつねのでんわボックス』と擬人化の手法


きつねのでんわボックス
(戸田和代・作 たかす かずみ・絵 金の星社 1996年)

🦊山の麓まで来ると

きつねの電話ボックスって? きつね型の電話ボックスとか、きつねのための電話ボックスとか? 大人でもあれこれ考えてしまいそうです。ひょっとしたら電話ボックスを見たことがない子どももいるかもしれませんね。

主人公は、最愛のこぎつねを失ったかあさんぎつねです。山奥でいっしょに暮らしていたのですが、病気で死んでしまいました。毎日泣き暮らしていたかあさんぎつねは、「あのこの おかげで、たのしいことが、いっぱい あったんだもの。元気を ださなくちゃ・・・」と自分に言い聞かせて歩きだしました。

山の麓まで来ると、明かりのついた電話ボックスが見えました。その中では、小さな男の子が電話をかけていました。いつのまにか、かあさんぎつねは男の子とこぎつねを重ね合わせていました。

こうして電話ボックスを舞台にしたお話が始まります。
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野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。