🦊作者の狙いは
きつねが主人公なので擬人化の手法を使って書かれています。第1部その9「違和感にご用心!」で説明した擬人化の度合いでいうと、「自然の中で動物の特性をちゃんと備えて暮らしていて、人間の感情だけを与えた擬人化」ということになるでしょうか。
擬人化の利点は、読者が主人公に親しみを感じて興味を持ちやすくなること、読者がその動物に対して持っているイメージをお話の中で利用できることですが、戸田和代さんのねらいはそれだけではないと思います。
我が子に対する母親の愛情を描いたのがこの本です。子ども読者が、病気で子どもを亡くした母親の気持ちに共感するのではなく、母親の愛情に気づく話です。だからこその擬人化だと思います。
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