幼年童話の書き方18~第2部「名作に学ぶ」その6

◆読者もすぐにまじょ子と仲良くなれる

活発で、好奇心旺盛で、魔法を見せてくれと言う男の子に向かって「まほうは あたしが つかいたいときに つかうのよ。ひとの さしずは うけないわ!」(第3巻『いたずらまじょ子のボーイフレンド』P6)と返す芯の強さもありますが、恥ずかしがりなところも怖がりなところもあります。主人公になった女の子や男の子と変わらない、等身大の女の子です。だから、主人公たちと同じように、読者もすぐにまじょ子と仲良くなれます。

そんなチャーミングなまじょ子が主人公とコンビを組んで活躍するエピソードは、幽霊退治だったり、宝探しだったり、恋愛相談だったり。魔法のほうきがありますからね、お菓子の国だって、妖精の国だって、どこへでもあっという間に行けちゃうし。こんなふうに、60巻の中には子どもたちがやってみたいと思っているようなことがたっぷりと用意されています。

みなさん、よくご存じかもしれませんが、『まじょ子どんな子ふしぎな子』は藤真知子さんのデビュー作です。デビュー作がいきなり大シリーズになるのですから、並の作家とは持って生まれた才能が桁違いってことでしょうか。

野村一秋先生のインタビュー記事もぜひご一読を!
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(1/3)
https://x.gd/etXKc
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(2/3)
https://x.gd/oTLHR
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(3/3)
https://x.gd/sq5xe

野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。