幼年童話の書き方19~第2部「名作に学ぶ」その7

その7 幼年童話で「戦争」を伝える方法
ひろしまの満月
(中澤晶子・作   ささめやゆき・絵 小峰書店 2022年)

今年は戦後80年の年。戦争放棄をうたう憲法のおかげで、この間、日本に爆撃機が飛来することもミサイルが落ちることもありませんでした。(イラク戦争には派兵ってことで自衛隊が出かけていますが)それなのに、近ごろは戦争する気満々であれこれ準備をしているように感じます。

ということで、今回は戦争児童文学を取り上げました。いったん戦争が始まれば子どもたちも容赦なく犠牲になります。幼年の子どもたちにも戦争のことを知ってほしいです。

現代に生きる子どもたちと戦争をどうやってつなぐのか。中澤晶子さんの『ひろしまの満月』で、幼年童話で戦争を伝える方法を考えます。

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野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。