◆かめのまめが語る
主人公は空き家の庭の池に棲むかめです。日本が戦争をしていたころからずっと生きている長生きのかめで、名前を「まめ」と言います。このまめが自分の体験を語ります。冒頭の3行だけ一人称の語りですが、他は三人称多元視点です。なので、語り手は主人公の心情だけでなく、他の人物の心情も語ります。
空き家に引っ越してきた2年生のかえでちゃんと仲良くなったまめが、かえでちゃんに戦争の話をするという展開です。前半はまめの紹介やかえでちゃんとの交流が書かれていて、戦争の話が出てくるのは後半からです。主人公がかめだけに、ゆったりとしたペースで進んでいきます。
まめがかえでちゃんと話す場面では、まめやかえでちゃんの心情も語られます。読者はふたりの気持ちを想像しながら会話を聞いているという感じでしょうか。
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