幼年童話の書き方20~第2部「名作に学ぶ」その8

その8 スリル満点の冒険ストーリー


エルマーのぼうけん
(ルース・スタイルス・ガネット さく   ルース・クリスマン・ガネット え わたなべしげお やく 福音館書店 1963年)


私の初任校でのことなので大昔の話です。お父さんの転勤で海外に移住することになった子のお母さんから「子どもが慣れないところで退屈しないように本を持っていきたいのですが、なにかいい本はありますか?」と聞かれたので、『エルマーのぼうけん』を紹介しました。後日、手紙が届いて、あまり本を読まなかった子が読書好きになったと、とても感謝されました。

『エルマーのぼうけん』は名作中の名作なので、みなさんよくご存じだとは思いますが、この本がなぜそれほどまでに子どもたちを虜にするのか考えてみたいと思います。

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野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。