幼年童話の書き方24~第2部「名作に学ぶ」その12(最終回)

その12『めいたんていサムくんとなぞの地図』--著者の思いを受け継いで


(那須正幹・作 はたこうしろう・絵   童心社・2021年)

那須正幹さん最後の作品

第2部の最終回は那須正幹さんの『めいたんていサムくんとなぞの地図』です。那須さんは2021年7月に逝去されました。これは同じ年の10月に初版が発行された、那須さんが最後に書いた本です。

『めいたんていサムくん』シリーズは、2年生のサムくんが事件を解決していくミステリーです。小さいころから自慢の推理力でいくつもの事件を解決してきたサムくんですが、その推理力には秘密があります。赤ちゃんのころに口にくわえていたタオルケットで作った空色のハンカチの匂いを嗅ぐと、頭が冴えてくるのです。

シリーズ3冊目の『めいたんていサムくんとなぞの地図』は、サムくんが友だちといっしょに火事のあった家を見にいって古い地図を拾い、その中に「寶」の文字を見つけたことから宝探しが始まります。

次のページに続く

野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。