一方の木こりは、来る日も来る日も、森の木を切り倒して貧しい暮らしを支えていましたが、ただ木を切っているだけではなく、自分が住む土地が豊かになるようなアイデアを持っていました。
ちいさなあくまは、この木こりのアイデアを実現させるために大活躍します。あくまなので、悪知恵も働きますが、今度はそれがプラスの方向へ役立ったのです。
この2人のアイデアは順調に進んでいたのに、意地悪な地主の邪魔が入ってしまいます。そこでも「人を救う」という正義感に目覚めたちいさなあくまが、持ち前の悪知恵で解決し、意地悪な人たちから木こりを助け、最後には木こりにたくさんの恵みをプレゼントすることができたのです。
この絵本は、ちいさなあくまの“いたずら心”が正義感へと変わっていく様を見事なお話と絵で描いています。わんぱく盛りの小さな男の子がいらっしゃるお母さんやお父さんには何かのヒントが得られるかもしれません。
また物語の最初の方に出てきただけですが、ちいさなあくまのいたずらを見逃さなかった大人のあくまたちの存在も大きく、子どものころに、「何がいけないことなのか?」「どうすれば人に喜んでもらえるのか?」「どうすれば自分で解決できるのか?」といった教育にも役立つ絵本だと思いました。
リトワニアに伝わる民話の再話である本書は、きっと読んだ後に、お子さんも大人も教訓が得られる一冊となるでしょう。