心をそっと軽くしてくれる

ぼちぼちいこか

マイク・セイラー 作
ロバート・グロスマン 絵
いまえ よしとも 訳
偕成社
1980年7月刊

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その絶妙なバランスが

最近、生活で大きな変化があり、少し息切れをしていました。そんな日々が続いていたある午後、公園のベンチに腰をおろし、空を見上げてみる。深呼吸をすると、ほんの少しだけ気持ちが落ち着くのですが、また心のモヤモヤが静かに押し寄せてきます。

そんな時、ふと6年前に子どもに読み聞かせをしていた一冊の絵本を思い出しました。それが、『ぼちぼちいこか』です。

主人公のカバは、何をやってもうまくいきません。消防士になろうとすればハシゴが折れ、船乗りになろうとすれば船が沈む。飛行士になれば墜落してしまう。そのたびに「あかんわ」と諦める姿に、思わずクスクスと笑ってしまいます。でも、失敗しても失敗しても、次々といろんな分野に挑戦し続けるその姿には、不思議と勇気をもらえるのです。

少しコミカルに描かれたカバの表情と、やわらかく優しい色合いの絵が、失敗の重さを軽やかに受け止めてくれます。深刻になりすぎず、でも決して投げやりでもない。その絶妙なバランスが、この絵本の温かさを作り出しているのだと思います。
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神原えみ について

湘南在住の2児のママ、(かんばらえみ)です。ペンネームはモンテッソーリガイドえみとして執筆をしています。『分かりやすい!モンテッソーリ教育』、『幼児教育をはじめる前に読む本』、『ORIGAMIはじめてのおりがみ(日・英バイリンガル)』といった書籍を出版してきました。普段は、インターナショナル園に勤務をしながら、「ママも子どもと同じくらい自分を大切に」を理念に活動をしています。さらに、2026年5月にはメキシコで開催される国際モンテッソーリ大会にて、モンテッソーリ教育とおりがみを融合させた書籍をご紹介します。