『アルメット』
トミー・ウンゲラー 作・絵
谷川俊太郎 訳
好学社
2022年9月15日刊
◆現代版のマッチ売りの少女
この絵本は、今年(2022年)の秋に日本で発売された絵本で、個性的で意志の強い、優しそうな女の子の表情が気になって手に取ったものです。
マッチ棒を片手に、革命を起こすのでしょうか?
アルメットは、とても貧しく、食べるものも住むところもなく、一人ぼっちでした。ゴミ箱を漁って食べ物を探し、廃棄された車の中で眠っていました。
拾い集めたマッチを箱に入れて売るという、現代版のマッチ売りの少女でした。
あるクリスマスの日、街は華やか。みすぼらしいアルメットに目もくれず、道行く人は、みな楽しそうでした。
お腹がすいたアルメットは、夜更けに、お菓子屋さんの前で立ち止まり、美しいお菓子を眺めていました。しかし、店主夫妻が出てきて、小汚いアルメットを追っ払ってしまいます。
アルメットは焚火をして暖を取りますが、消防車が来て、また追い払われました。
行くところもなく、食べるものもなく、ついにアルメットは道端で倒れてしまいます。
そこで、天から稲妻が落ちてきて、アルメットが想像していたごちそうやお菓子、温かい寝具などが舞いおりてきました。(次ページに続く)