あれ?
ひと目見た瞬間にそう感じた。
今日のべにちゃんはいつもと違う。
答えはすぐにわかった。
笑顔。
いつもの笑顔とずいぶん違う。
朝のヒカリに負けないくらいの、新鮮でまばゆい笑顔。瞳の奥深くに、はっきりとした輝きを宿し、口元はかすかに笑って、見るもの全てをとりこにしてしまいそうな笑顔。
その通り、ぼくは、見とれてしまった。
そして、べにちゃんはこういい放った。
「たけちゃん、わたし、きのうの夜、決心したの・・・。わたし今日、伊集院くんに告白するわ! いつまでこうして遠くからながめていたって、なんにも変わらないもの。早くたけちゃんに話したくてこんな時間にきちゃった!」
べにちゃんは左の胸を両手でおさえていた。きっと、トクン、トクンと心臓がはげしく脈打つのが苦しいからだ。
「・・・・・・」
ぼくはこんなべにちゃんを、素直にきれいだと思った。こんなきれいな表情を浮かべられるのは、べにちゃん以外にないと思った。