春を泳ぐヒカリたち(4/11)

文・高橋友明  

・・・でも、きれいだと思う分だけ、ぼくの胸はぺったんこにしぼみ、キューと悲鳴をあげる。
べにちゃんは、ぼくの気もしらず次々と話しつづける。・・・ぼくの気も知らず、でもそれは手前勝手だ、そうさせているのは、ぼく自身の嘘にはじまりがあるのだから。

きのうの夜に、告白を決心するまでの経緯。ラブレターを書くのに12時間もかかったこと。内容はいくらたけちゃんでもすぐには教えられない、恥ずかしいから。いつか必ず話すから、それまで待っていてほしい、等々いつまでも話しつづけた。
耳に千万本の矢が、次々に突きささる。ひっきりなしだ。千万回かける千万だ。ぼくは、たまらなく苦しい。涙が出そうなのを必死でこらえた。

「それで、たけちゃんにお願いがあるの。」
・・・いやな予感がする。
「・・・え?うん。なあに? ・・・なんでもいってよ。ぼくできることならなんだってするからさ。」
ぼくは一生懸命に嘘をついた。

高橋友明 について

千葉県柏市在中。日本児童教育専門学校卒業。 朝昼晩に隠れているその時間ならではの雰囲気が好きです。やさしかったりたおやかであったり、ピリッとしていたりする。 同様に春夏秋冬や天気や空模様も好きです。 そうしたものを自分の作品を通して共感してもらえたら幸いです。