月夜のネコかいな(3/4)

文・夏美  

「まいどありがとうございます」
お面屋がお面をたなからはずしました。それはネコのお面でした。
そして驚いたことに、お面屋は手を伸ばし、お月さまを両手ではさむと、すっぽりとお月様が今つけているお面をはずしました。

「うわ」
気づきませんでした。
お月さまはずっとお面をつけていて、今晩それを取りかえにきたのです。
外されたお月さまの本当の顔は真っ白でした。
「卵だ」
お月さまは恥ずかしそうにちょっとうつむきました。

お面やが新しいネコのお面をお月さまの顔につけてあげました。
お月さまはうれしそうに、2、3回飛びはねたように見えました。
そしてまた今度も風船があがっていくみたいなスピードで空に戻っていきました。

夏美 について

大阪出身。童話やミステリーが好きで、少年探偵団や少女探偵ナンシーで育ちました。自分もそんな感じの、子供がワクワクできるようなミステリーやサスペンスを書けたらいいなあと思っています。ようやく落ち着いてパソコンに向えるようになった主婦です。尊敬する人はグラン・マ・モーゼスです。