◆歩いているだけでワクワクが広がる
さて、話を元に戻しましょう。私の住むシアトル近郊、キットサップ郡には森を開拓して作った「フォレスト劇場」( Kitsap Forest Theatre )というものがあります。『オズの魔法使い』が上演されたのは、この劇場でした。私は舞台の仕事も長く経験しているので、様々な劇場を見てきていますが、フォレスト劇場のような施設は見たことはありません。とても変わっているのです。何が変わっているかと言うと、車を止めて、舞台がある場所まで10分以上もハイキングをしないと辿り着けないのです。
劇場へ続く山路は、まさに絵本の世界そのもの。道中さまざまな「しかけ」がしてあって、ハイキングしている最中からすでにオズの魔法使いの世界に引き込まれるような錯覚に陥ります。物語に出てくる虹の彼方のゲートや、黄色いレンガ道、ドロシーのルビー色のくつなど、歩いているだけでワクワクが広がる感じ。座席についた頃には、すっかり子供たちは冒険を終えて、オズの国に到着したかのような興奮状態になっていました。舞台にもすっかり魅せられ、とても楽しい1日でした。
これからまだ2カ月ある夏休み。絵本関連のイベントもいろいろありそうなので、また近いうちにこちらでご紹介できればと思っています。