6 リンゴ王妃の語ったこと
町のリンゴ売りのもとに、すっかりやつれたリンゴ王妃がもどって来たのは、何日かたってからでした。
「いったい、今まで、どこでどうしていたのだね!?」
父親がたずねると、リンゴ王妃は、わっと泣き出して、こんな話をしたのでした。
「大ガラスにさらわれた私は、湖を見下ろす丘の上に下ろされたの。そこで待っていたのは、あのうらない女だったわ。女は、水晶玉をかかえて、私を見て意地悪く笑ったの。
『おろかだねえ。おまえは知らなかったのかい、この石こそが、城を湖の底から持ち上げていたのだということを。おまえがそれをはずしてしまったから、ほら、見るがいい、城がしずんで行くよ』
本当に、私はそこから、私のせいでお城が湖にしずんで行く様をつぶさに見なければならなかったわ。王様も、お城の人々も、何もかも、道連れにして。
私は泣いて、水晶玉を返してください、お城を元通りにしてくださいとたのんだわ。でも、女は、きびしい顔で言ったの。