部屋の中には、いい雰囲気が、満ち満ちている。
いろいろあったけど、なんとかなってよかったよなー、的な雰囲気。
そんな中、
「いや、お父さん。みなさんも、もう少し、ゆっくりしていってくださいよ。そろそろ腹、減りませんか? ワシが、スペシャルなラーメンをご馳走しますよ」
猿神さんは提案し、
「この時間なら、ツアー客もいないはずだ」
チャッピーを胸に抱き、いそいそと出前の電話をかける。
「・・・そうそう、ふくふく絶品味噌ラーメン野菜乗せ、・・・アキラとワシはぜんざいでがまんするから・・・、4人分、持って来てほしい! 大急ぎで!」
オレは、あわてて受話器を奪い取る。
「福来さん、それはキャンセルで。・・・ええ、そうですか、じゃあ、絶品とかスペシャルとか付かない方の焼きそばで」
「つまんないの」
すねる猿神さんに、
「猿神さんは、こどもですか?」
言いつつオレも、思ってしまった。
みんなが、あのラーメンを食べる時のリアクション、見てみたかった!
う~ん、ちょっと、残念だ!
なんて。
だから・・・。
いけない、いけない。
こんなおとなに、なっては、いけない。
猿神化しないように、気をつけなくちゃ。
強く、自分に、言い聞かす。