猫アンテナ狂想曲(15/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

部屋の中には、いい雰囲気が、満ち満ちている。
いろいろあったけど、なんとかなってよかったよなー、的な雰囲気。
そんな中、
「いや、お父さん。みなさんも、もう少し、ゆっくりしていってくださいよ。そろそろ腹、減りませんか? ワシが、スペシャルなラーメンをご馳走しますよ」
猿神さんは提案し、
「この時間なら、ツアー客もいないはずだ」
チャッピーを胸に抱き、いそいそと出前の電話をかける。

「・・・そうそう、ふくふく絶品味噌ラーメン野菜乗せ、・・・アキラとワシはぜんざいでがまんするから・・・、4人分、持って来てほしい! 大急ぎで!」
オレは、あわてて受話器を奪い取る。

「福来さん、それはキャンセルで。・・・ええ、そうですか、じゃあ、絶品とかスペシャルとか付かない方の焼きそばで」
「つまんないの」
すねる猿神さんに、
「猿神さんは、こどもですか?」
言いつつオレも、思ってしまった。

みんなが、あのラーメンを食べる時のリアクション、見てみたかった!
う~ん、ちょっと、残念だ!
なんて。

だから・・・。
いけない、いけない。
こんなおとなに、なっては、いけない。
猿神化しないように、気をつけなくちゃ。
強く、自分に、言い聞かす。

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。