それを見て、
「ううううーっ」
猿神さんがうなる。
「ど、どうしたんですか?」
オレが投げ飛ばした後遺症・・・、か?
「ううううーっ、か、可愛過ぎる。チャッピー、おまえを可愛い罪で逮捕するっ!」
ここまできたら、
「勝手にしてください!」
と言うほかない。
「でも、飼い主に連絡は、します」
ポケットから切り抜きを取り出し、
「電話、お借りします」
受話器に伸びるオレの手を、
「貸さない」
猿神さんの手がさえぎる。
「猿神さんは、こどもですかっ!」
「見てわからないのか?」
もう、まったく!
この人には、嫌味も通じやしない。
「猿神さん、想像してみてくれますか?」
幼稚園児に話しかけるように、言ってみると、猿神さんは、目を閉じた。
その顔に、幸せそうな笑みが浮かぶ。
「なに笑ってるんですか?」
「おまえが、想像しろと言うから、想像してるんだ。チャッピーとのステキな未来」