猫アンテナ狂想曲(3/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

それを見て、
「ううううーっ」
猿神さんがうなる。
「ど、どうしたんですか?」
オレが投げ飛ばした後遺症・・・、か?
「ううううーっ、か、可愛過ぎる。チャッピー、おまえを可愛い罪で逮捕するっ!」
ここまできたら、
「勝手にしてください!」
と言うほかない。

「でも、飼い主に連絡は、します」
ポケットから切り抜きを取り出し、
「電話、お借りします」
受話器に伸びるオレの手を、
「貸さない」
猿神さんの手がさえぎる。

「猿神さんは、こどもですかっ!」
「見てわからないのか?」
もう、まったく!
この人には、嫌味も通じやしない。

「猿神さん、想像してみてくれますか?」
幼稚園児に話しかけるように、言ってみると、猿神さんは、目を閉じた。
その顔に、幸せそうな笑みが浮かぶ。
「なに笑ってるんですか?」
「おまえが、想像しろと言うから、想像してるんだ。チャッピーとのステキな未来」

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。