『捜し猫』コーナーに載る飼い主の情報は、少ない。
掲載枠を占めるのは猫の写真と、どうしても捜しだしたいという切実な願いを込めた文章で、飼い主情報は、ほとんどの場合、苗字と携帯番号だけだ。
チャッピーの飼い主、中園さんの情報もそれだけだった。
「せめて固定電話の番号が書いてあれば、電話帳を手掛かりにできるのに・・・」
なにか連絡手段はないか? 知恵をしぼるオレを横目に、
「しかたないなー、チャッピー。中園さんの都合により、お電話がかけられるようになって、連絡がつくようになるまで、ワシと一緒にいようなー」
猿神さんは、顔の筋肉を緩めるだけ緩めている。
「あっ、そうか!」
オレの頭に灯りが点る。
「ぎくっ! なにか思いついたのか?」
「新聞社に電話をかけてみます」
「やっぱり、そうきたか・・・」
って、
「思いついているなら、さっさと実行に移してください。というか、オレがかけます」
ズルされる危険性は回避せねば。
しかし、新聞社の言い分は、こうだった。
ーー中園さんの住所は存じておりますが、個人情報にかかわる件でございますので、お答えできかねます。当社の方から、中園さんの携帯に連絡を入れさせていただきまして、ご了解を得た上でなら、お答えできますがーー
これでは、まったく、埒があかない。