❖目が離せない
絵の優しさも特筆すべき点です。主人公やどろぼうたちの表情がゆたかで、色使いがとてもかわいく、ページをめくるたびに目が離せませんでした。特におやつの描写は、ケーキやお菓子の甘さが伝わってきて、見ているだけでお腹がすいてしまうほどです。甘いものが大好きな私には、手を伸ばしたくなるような描写でした。
印象的だったのは、主人公が冷蔵庫の奥で大好きなケーキを守るために勇気を振り絞るシーン。大人の目から見れば「ただのおやつ」かもしれませんが、子どもにとってはそれが特別な宝物。自分が子どもだった頃、今では何気ないと感じるものをとても大切にしていたことを思い出させてくれました。
この絵本は、大人が読むと、子どものころの記憶や感覚を呼び覚ますことができ、ほっとした気持ちにさせてくれます。また、親子で一緒に読んで、お互いに好きなおやつについてや、絵本にある夜の冒険について語り合うのも素敵な時間になることでしょう。読み終えた後には、きっと心には温かく、そしてケーキのように甘い余韻が広がることでしょう。