田村理江さんが岩崎書店より出版

『窓の向こう、その先に』は、そんな友情について私なりに描いた物語です。主人公の穂乃果は小学5年生。昔からの仲良しはいるし、学校も楽しい普通の女の子です。だけど、友だちとの関係に少しだけ違和感が芽生えていました。
そんな時に出会ったのが、謎めいた紳士と、その紳士を知っているという学校一の美少女。
穂乃果は、紳士や美少女に憧れ、やがて三人は一緒の時を過ごすようになります。

物語が進むうち、三人は「会うべくして会った」とわかるように書きました。紳士は芸術人生を達成し、美少女は心を再生、穂乃果も大きく成長します。
友情とは、同じ年頃でなくてもいい、性別も問わない、もちろん、境遇も関係ない。大事なこと・ものが共通していて、なおかつ、お互いが似過ぎない。「自分が欲しくても得られない、憧れるような何か」を持つ相手に、強烈に引かれるのではないかと思いました。

穂乃果と紳士、美少女はわずかな時間の交流でしたが、友情は長さではなく、濃さで計ることもでき、三人の友情は本物だったことを書いたつもりです。

私としては珍しくバッドエンドの物語ですが、穂乃果が「窓の向こう」に見た光景が、彼女をいやおうなく大人にさせ、生き方を変えるほどの思い出になっていきます。読者の皆さんが穂乃果の選んだ道をどう思うか、いつか感想を聞いてみたいなと思う作品です。」