けれども、ある日、花とわかれなければならないときがやってきました。
それはとつぜんでした。
花は、わたしのそばからいなくなりました。
花といっしょにはなしたり、お茶をのんだり、空や星をながめたりする日々を、
ずっとつづけたいとねがっていたのに。
わたしはうずくまりました。
うずくまったまま泣きました。
もどらない花を思っては、何年も何年も、泣きくらしました。
涙もかれたころ、おそるおそる顔をあげてみました。
そこには
花の種をまいているおばあさんがいました。
花の苗を植えているおじいさんがいました。
花畑に水と肥料をまいている青年がいました。
花束をかかえて、いそいそと歩く娘さんがいました。
わたしは、何年かぶりに、口をひらいて、この人たちにきいてみよう、と思いました。