誰が時計を止められる?

文と絵・田村理江

「ママー、どうしたの? もう夜だよ」
シャンデリアの光で輝くサロンに、ママの姿を見つけ、かけ寄った。
「まぁ、おちびちゃん。あなたは、ねんねしていていいのよ」
ここにいるのは、大人ばかり。
パーティーじゃなさそうだ。だってみんな、ちっとも
楽しそうじゃないもん。
「うるさくって、眠れないよ。なんで、こんなに人がいるの?」
「それはね・・・、サロンの時計が、3分前になったからなのよ」

時計が動き出したって?
ぼくは知っていた。サロンの時計が0時を指したら、おそろしいことが起きるって。
核爆弾っていうやつで、地球がジグソーパズルのピースみたいに、バラバラになっちゃうって。
そうしたら、ぼくたち、どうなるの?

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田村理江 について

(たむら りえ)東京都生まれ 成蹊大学文学部日本文学科卒業。日本児童文学者協会第15期文学学校を終了。 第6回福島正実記念SF童話賞を受賞して、『ガールフレンドは宇宙魔女』(岩崎書店)を出版。 児童書の作品に『リトル・ダンサー』(国土社)、『夜の学校』(文研出版)、『魔の森はすぐそこに・・・』(偕成社)など。絵本の作品に『ふなのりたんていラッタさん』(フレーベル館)、『ハンカチのぼうけん』(すずき出版)など。 HP:田村理江のページ