誰が時計を止められる?

文と絵・田村理江

おおぜいの人のまん中に、パパがいた。
今まで、ぼくの困ったことは、ぜんぶパパが解決してくれた。
なのに…。今日は、パパも困っている。
「誰か、この時計を止めてくれないか?」
パパは、時計を止められそうな人を、5人、選んだ。

まずは、大統領。
「ふううむ・・・。わしには、できかねる」
テレビや新聞で、いつも世界の平和を守ると言ってるくせに、止め方を知らないなんて。
たくさんのお金と、たくさんの人を、いっぺんに動かせるトップなのに、そんな人でもできないことがあるんだな。

つづいて、どんな難しい問題でも、たったの1秒で答えてくれる、算数の先生が登場。
時計の文字盤についた数字を、足したり、引いたり、掛けたり、割ったり。
それでも結局、時計静止算の答えは出なかった。

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田村理江 について

(たむら りえ)東京都生まれ 成蹊大学文学部日本文学科卒業。日本児童文学者協会第15期文学学校を終了。 第6回福島正実記念SF童話賞を受賞して、『ガールフレンドは宇宙魔女』(岩崎書店)を出版。 児童書の作品に『リトル・ダンサー』(国土社)、『夜の学校』(文研出版)、『魔の森はすぐそこに・・・』(偕成社)など。絵本の作品に『ふなのりたんていラッタさん』(フレーベル館)、『ハンカチのぼうけん』(すずき出版)など。 HP:田村理江のページ