誰が時計を止められる?

文と絵・田村理江

じゃあ、お医者さんなら、どうだろう?
科学も物理も生物学も心理学も研究して、治せない病気は一つもないと自慢しているお医者さん。
「この薬なら、一発で止まります」
特製の薬を時計に注射したのに、ほら、この時計、平気で動いているじゃないか。
「お手上げだぁ」
時計さん、痛かっただろうなぁ。

ぼくの大すきなアイドルも、やって来たよ。彼女の歌声には、どんな人でも、じっと静かに聴きほれずにはいられない。
彼女の歌声は、小鳥のさえずりのよう。ピアノのメロディーのよう。そよ風のささやきのよう。
優しくて、リズミカルな歌声に、時計だってきっと、うっとりして、動くのを止めるにきまって・・・ない! あー、ダメだ。

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田村理江 について

(たむら りえ)東京都生まれ 成蹊大学文学部日本文学科卒業。日本児童文学者協会第15期文学学校を終了。 第6回福島正実記念SF童話賞を受賞して、『ガールフレンドは宇宙魔女』(岩崎書店)を出版。 児童書の作品に『リトル・ダンサー』(国土社)、『夜の学校』(文研出版)、『魔の森はすぐそこに・・・』(偕成社)など。絵本の作品に『ふなのりたんていラッタさん』(フレーベル館)、『ハンカチのぼうけん』(すずき出版)など。 HP:田村理江のページ