誰が時計を止められる?

文と絵・田村理江

そして、サロンには、ぼくだけが残った。
「なんとか、止まらないかなぁ」
なんとか、なんとか、なんとか・・・、
よーし!
なんとか、やってみるか。

ぼくは、小さな椅子を運んできた。
「よいしょ」
時計のそばに、椅子を置き、
「こわくなんかないぞ」
それに乗って、せいいっぱい背のびをしたら、時計の針に、やっと手が届いた。

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田村理江 について

(たむら りえ)東京都生まれ 成蹊大学文学部日本文学科卒業。日本児童文学者協会第15期文学学校を終了。 第6回福島正実記念SF童話賞を受賞して、『ガールフレンドは宇宙魔女』(岩崎書店)を出版。 児童書の作品に『リトル・ダンサー』(国土社)、『夜の学校』(文研出版)、『魔の森はすぐそこに・・・』(偕成社)など。絵本の作品に『ふなのりたんていラッタさん』(フレーベル館)、『ハンカチのぼうけん』(すずき出版)など。 HP:田村理江のページ