少女は誰もいない暗い家に入り、ランプをつけます。
そして、うす灯かりの中で、拾ってきた星のかけらを数えるのです。
ひとつひとつ、自分の白いエプロンで、かけらについている水の玉をふき取りながら。
数え終わると、机の引き出しから、ノートとペンを取り出し、青いインクで、きょうのかけらの数字を書きこみます。
数え終えた星のかけらは、ノートとインクの引き出しとは別の引き出しにしまいます。
その引き出しは、拾ってきた星のかけらで、きっちりいっぱいになるのでした。
そう、この引き出しひとつが、バケツ一杯分の量なのです。
不思議なことに、次の日の星のかけらを入れるころには、きょう入れた星のかけらは、なくなっています。
引き出しは空っぽになっています。
それで新しい星のかけらを入れることができるのです。
たぶん、川で拾う星のかけらは、とてももろく、すぐに細かく割れてしまうものだから、ひとばんの間に、もっともっと小さなかけらになって、引き出しのすき間から流れ出て、家の外に出て、また川にもどっていくのだわ、と、そんなふうに少女は思っています。
星のかけらを入れた引き出しを、ぱたんと閉める音で、少女の一日の仕事は終わります。
ランプの灯りを消し、少女はベッドに入ります。