今夜も少女は、ランプの下で、拾った星のかけらを数えます。
数えた数字を、青いインクでノートに書きます。
――いなくなったあのひとは、毎日毎日、こちらに手をふっていたことを忘れはしないのかしら。こちら岸で星のかけらを拾っていたわたしのすがたを、思い出すことはあるのかしら。覚えているとしたら、いつまで覚えているのかしら。わたしはこれから毎日、あのひとのことを、思うのかしら――
数字を書き終えたあと、少女は、しばらく少年のことを思いました。
少年の面影は、たやすく消せるものではありませんでした。
それでもいつものように、少女は、星のかけらを引き出しにしまい、灯かりを吹き消し、ベッドに入ります。
――あのひととわたしのあいだ、くり返し流れ、今も流れている、いとしい銀色のかけらたち。流れる川のほとり、たいせつなひとが、手をふってくれますように。わたしも手をふります――
祈りながら少女は、川を流れる星の光とともに、眠りにつきます。
おやすみなさい、かけらたち
おやすみなさい、たいせつなひと