2025クリスマス特集④ 期日指定のプレゼント

3  太一から太一様

「これは願いごと受付係のメモじゃ。90年後に倉庫に現れるよう、封筒にまじないをかけておいたのじゃな」
「へえ、そうだったんですか。ぼく、初めて知りましたよ、願いごとに期日指定があるなんて」
「どんな願いにも対応するのがサンタというものじゃよ」
サンタは茶目っ気たっぷりにウィンクすると、封筒を開いて、中から手紙を取り出しました。
「ほほう、なるほど、なるほど」
手紙を読むサンタは本当に楽しそうです。
「え、サンタ様、何て書いてあるんですか?」
たまらず、サミュエルがたずねると、サンタは声に出してその手紙を読み上げました。

「サンタさんへ

この間、ぼくたちは、学校の授業で、
『90年後の自分への手紙』というのを、書かされました。
せっかく書いたので、99才のおじいさんになったぼくに、とどけてください。
そして、ぼくの代わりに、ねがいごとを聞いてあげてください。
よろしくおねがいします。

太一」

白い封筒の中には、もう一通、一回り小さい、赤い封筒が入っていました。
宛名は「99才の太一様」です。
「あははは」
サミュエルは、ぴょんと、ちゅう返りをしました。
「こりゃ、面白いや。太一君、おじいさんになった自分に何て書いたんだろ?」
「そりゃ、読んでのお楽しみじゃよ、サミュエル」
サンタの目もゆかいそうに笑っています。
「でも、サンタ様。90年もたっているんですよ。住所を探すのが、ちょっと、やっかいですね」
「いやいや、サミュエル。子どもの願いは必ず叶えてやるのがサンタじゃ。
わしは、きっと、この手紙をじいさんになった太一に届けてやるつもりじゃよ」
サンタは赤い封筒を優しくなでさすりました。

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