2025クリスマス特集④ 期日指定のプレゼント

8 びっくりしたママ

夜が明けて、太一さんはツリーの下で目をさましました。
ママが驚いて、叫びました。
「まあ、あきれた、おじいちゃん! こんなところで夜を明かしたの!」
太一さんはご機嫌で、ママに言いました。
「いやあ、すばらしい夜だったよ。
私はサンタのそりに乗って、プレゼント配りを手伝ったんだよ」
「それはよかったわね」
ママも、にこにこ、うれしそうでした。

「もうじき夜が明けるって時に、私は思い切って、サンタにたのんでみたんだ。
『ついでに、このまま、神様のところまで送り届けてくれませんか?』って」
「ええっ! おじいちゃんたら、そんなことを!」
ママは、目をまん丸くしました。
「それで、サンタさん、何ておっしゃったの?」
太一さんは、「ふふふっ」と笑いました。
サンタは、こう、答えたんだそうです。
「太一よ、ずるしてはいかんよ。おまえの順番はまだまだ先じゃ。
このまま神様のところへ行って、
『ずるはしなかったか?』
とたずねられたら、おまえさん、どうこたえるつもりじゃね?」

今年も、もうじき、クリスマス。
サンタは、子どもにしか見えない決まり。
だから、子どもの心で耳をすませば、きっと、聞こえてくるはずです。
遠い空からやってくる、すんだすずの音と、サンタのゆかいな笑い声が。

伊藤由美さんの作品はこちら→
伊藤耀さんの作品はこちら→