2026お正月特集④

   お正月のタコタロウ    作・宇都宮みどり

「やっとお正月がきたんだな」
クローゼットから出してもらったぼくは、ほっとして、ふぅっと大きないきをはきだした。
やあ、ぼくは、たこのタコタロウ。空にまう、あのたこさ。
ぼくがそらと君んちに来たのは、2年前の暮れのこと。
田舎のおじいちゃんが、連れてきてくれたんだ。

「蔵の片づけをしておったら、こんなものが出てきたからもってきたよ」
「うわぁ、なつかしい。ぼくが子どものころにあげていたたこだ」
「お父さんが、このたこ、あげてたの?」
「そうだよ。お父さん、たこあげ、うまかったんだからな」
「もともとは、おじいちゃんのたこだったんだよ。このたこの骨組みは、割いた竹でできていてね。そこに和紙をはって作ったのが、このたこというわけだ」
「ということは、このたこ、もしかして、おじいちゃんが作ったの?」
「そうだよ。最近ではこんなたこ、見ないだろう?」

四角い形をしているぼくには、車の絵がかかれている。
「この絵は?」
「これはお父さんがかいたのさ」
「へえ、お父さん、絵が上手なんだね」
「まあね」
お父さんは、ちょっとじまんげな顔をしてにんまりした。

お昼ごはんのときだった。
「ごはんがすんだら、近くの公園でたこあげしようか」
お父さんの言葉に、弟のうみと君が、びっくりして目をまん丸にした。
「あの八本足のたこ? どうやって、どこにあげるの?」
4さいになるうみと君の言葉に、みんな大笑い。

ぼくは、『へえ、ぼくと同じ名前のやつがいるんだ』とびっくりさ。見たことないけど、八本も足があるなんて、すごいよね。
「ちがうんだよ。これもたこっていうんだよ」
2年生のそらと君は、自分のへやからぼくを持ってくると、うみと君に見せたんた。
「あの八本足の海にいるのもたこ。こっちもたこ」
「ふうん」
「あとからうみともいっしょに公園に行こうね」
「うん!」

(次のページに続く)