いいお天気だ。雲ひとつないぞ。風もいい具合にふいてる。うみと君、さあ、全力で走ってくれ!
ぼくの声が聞こえたかのように、うみと君は、糸をもって走り出した。
いいぞ! その調子。ぼくもがんばって上にのぼるからね!
風にのって、ぼくは青空にあがった。
ああ、何度あがっても、やっぱり空の上は最高だな。あっ、去年、ぼくたちをうらやましそうにベランダから見てた兄妹が、また見てる。もしかしたら、あの子たちもぼくをあげたいのかも。
去年は、そらと君があきたときしか、うみと君、ぼくをあげられなかったんだよな。だけど今年はうみと君、ぼくをひとりじめできるから、うれしいんじゃないかな。
「お父さん、この最新式のたこ、すごいね。よく上がるね。ねえ、見て。あっちの四角いたこ、へんちくりんじゃない?」
「どれ? ああ、あのたこか。変じゃないよ。ただ、ずいぶん古いたこだけどね」
楽しそうにぼくをあげていたうみと君に、向こうにいた親子の声が聞こえたとたん、うみと君から笑顔がきえた。
ごめんね。古いたこで。
ぼくは、しょんぼりした。
そのとき、急に強い風がビュンとふいた。
「あっ」
糸が切れて、ぼくはくるくるまいながら、あの兄妹のいるベランダにむかって飛んでいった。
「うみと君、たすけてぇ」
ぼくは、ベランダに飛び込んだ。
べランダのふたりは、とつぜんのことにびっくり。
そこはとても古い二階だてのアパートだった。
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