2026お正月特集④

「お兄ちゃん、たこだ」
「そうだね」
「どうしよう」
「あの子に返さなくちゃ」
「ちょっとだけあそんじゃダメ?」
「ダメだよ。さあ、返しに行こう」
兄妹は、ぼくを持つと公園に向かった。
でも着いた時には、うみと君、いなかったんだ。

えっ、ぼくを探してくれなかったの?
ぼくはなきそうになった。これからぼく、どうなるの?
「あの子、いないね」
「お兄ちゃん、このたこどうする?」
「仕方ないね。おうちにもって帰ろう。あの子、また来るかもしれないからそれまであずかっておこう」
二人は、大事そうにぼくをかかえて家に帰った。

あれ? お正月なのに、だれもいないぞ。おせち料理もなさそうだ。
「お兄ちゃん、このたこあげてみたい」
お兄ちゃんはしばらく考えているみたいだった。
「ちょっとだけなら借りてもいいかな」
そう言ったおにいちゃんは、たこ糸を台所からもってくると、切れた糸にそれをつなげた。

「じゃあ、また公園だ」
「わーい」
二人は、みんなのたこあげを見ていたので、あげるのも上手だった。
「すごい! たこさん、気持ちいいかなあ。わたしもお空をとんでみたいなあ」
うん、気持ちいいよ。えへへ、こうしてとべるのは、ぼくがたこだからさ。このお兄ちゃん、やさしいな。上手にあがったら、すぐにぼくを妹にわたしてあげるなんて。それにしても、今ごろ、そらと君とうみと君、どうしてるかなあ。探しにきてくれるかなあ。

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