少女が住む川のほとりには、銀色に光る小さな星のかけらが流れていました。
朝にも昼にも夜にも、かけらは無数に川を流れていきます。
この川を流れるかけらは、天の星が星の形をつくるとき、はみ出してしまったり、いらなくなってしまったりしたものなのです。
星のかけらたちは、朝には、のぼる太陽の光を受けて透明に光り、夕方には、沈む陽の光をのみこんであかね色に染まり、夜には、地上を照らす月や星の光を反射して、銀色の破片になっていくのです。
太陽がのぼると、少女は、川のほとりにある家の中で目を覚まし、白いエプロン付きのワンピースに着替え、川に出かけます。
川の水で顔を洗い、長い髪を水でぬらしてとかしたあと、少女は両手を合わせ、手のひらを丸めてスープのお皿のようにします。
そしてひとすくい、川の水をすくいます。
数匹の魚たちが、少女にすくわれて、その手のひらの、丸い水たまりの中に入ります。
少女の小指のつめよりも透き通って小さな魚たち。
少女はそれを、ひといきに飲みほします。
それから裸足になって川に入ります。
星のかけらを拾うためです。
腰をかがめ、持ってきたバケツの中に、拾った星のかけらを、ひとつひとつていねいに入れていきます。
かけらを拾う途中、少女は、ときどき顔を上げ、向こう岸をながめることがあります。
向こうの岸には、やはり川に入って、星のかけらをひろっている少年がいました。
目が合ったときは、少しだけ手をふります。
少年も手をふってくれます。
そして、またすぐに星のかけらを拾うことにもどります。