もえちゃんのおひっこし(6/7)

文・あいみ  

第6話 ママのナミダくん

暗い暗い道を、もえちゃんはナミダくんの手を引いて歩きました。
遠くに見えるあかりを目指して歩くと、ゆうちゃんとりんちゃんはパジャマ姿で立っています。
「ゆうちゃん、りんちゃんっ!」
もえちゃんはかけよります。

「ごめんね! あたし・・・おひっこしするのっ!  でもね、それでもやっぱり・・・2人とは友だちでいたいの。ゆうちゃんの描くイラストがだいすき。りんちゃんの貸してくれた本、すごく好き。2人が好きだから。だから・・・あのね、文通してくれる?」
「文通?」
「お手紙こうかん・・・。パパがきっと、楽しいよって言ってたの」
ゆうちゃんがにっこりわらいました。
「うんっ。だってあたしたち、はなれてもずっとお友だちだもんね!」

夜です。
もえちゃんはナミダくんに付いてきてもらって、トイレにいました。

「・・・・・・そうよね、ナミダくん。でもね・・・もえちゃんのことを考えると、かわいそうで・・・」
ママの声が聞こえてきます。

・・・え。ナミダくん?
もえちゃんはびっくりしました。どういうことなんでしょうか。だって、ナミダくんはここにいるのに。

「あのね、もえちゃん。ナミダくんはたくさんいるんだよ。どんな人にもみんないるんだよ。あれはきっと・・・ママさんのナミダくんなんだね。みんな泣くのは大切だからね」
「・・・大人も泣くんだあ」
もえちゃんはびっくりしました。

「そうだよ。ナミダはみんなの味方だからね」
ナミダくんは笑います。
「たくさん泣くと、その分やさしくなれるんだよ」

あいみ について

あいみです。東京都在住の介護士さんしてます。赤毛のアンが大好きです。文通なんかもしていたりします。一度きりの人生、楽しまなきゃ!の精神で毎日頑張っています。 きっと明日は今日よりも良くなると信じています。 ブログ→「あいみの幸せぶっく」