幼年童話の書き方~第1部「基本のキ」その3

その3 句読点と改行

◆どこに読点を打てばいいのか

「小学生の作文じゃないんだから……」
これは、同人誌『亜空間』の合評会で、わたしがゲスト講師のベテラン編集者Aさんに言われたことばです。今から30年以上も前のことです。

小学生の作文のようだと指摘されたのは読点(、)の打ち方です。その合評会に出したわたしの作品は、「ぼくは、」というように主語の後には必ずと言っていいほど読点が打ってあったんですね。それが小学生の作文のようだと言われたわけです。

小学校では、1年生でひらがなの学習が終わると文を書く練習が始まります。そのときに、文末には必ず句点(。)を打つように指導します。また、文頭の接続語などの後、主語の後、従属節の後、並列する語などに読点を打つと読みやすくてわかりやすい文になることを教えます。

「従属節」というのは複文の前半です。「雨が降ると、水たまりができる」という感じでしょうか。
だから、わたしとしては基本に忠実に打ったんですが……。

そのときはじめて、児童文学作品は幼年童話であっても小学校で教えているとおりに書く必要はないんだと知りました。
作品を書いているときに、どこに読点を打てばいいのか悩む人は多いんじゃないでしょうか? 何も考えずに打っているという人もいたりして。

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野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。