幼年童話の書き方~第1部「基本のキ」その9

その9「違和感にご用心!」

リアリティとは?
「リアリティがない」「リアリティに欠ける」というのは作品批評でよく使われることばです。
合評会などでそう言うと、作者から「だって、ほんとうにあったことなんだもん」と言われることがあります。

丸ごとほんとうにあったことで書けば、それはノンフィクションです。幼年童話はリアリズムの手法で書く生活童話であってもフィクション、つまり作り話です。

創作作品におけるリアリティというのは、本当にあったことかどうかではなく、読者が本当らしく感じるかどうかなのです。

見合ったキャラクターを設定
ふと、とんでもない展開を思いつくことってありますよね。いわゆる「意外性のある」ってやつです。
そんなとき、気をつけなければいけないのは、それに見合ったキャラクターを設定するということです。そうでないと読者は展開についていけません。とんでもない展開はユニークなキャラクターがあってこそのものなのです。

キャラクターを先に思いついた場合も同じです。
いくらキャラクターがユニークでも、それだけでは読者は退屈してしまいます。期待した分、がっかりしちゃうってもんです。
思いつきはキャラクターと展開がぴたっと合ったときに威力を発揮するのです。
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野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。